物語性を期待して途中まで読んでいたために面白くないなと思ってたけど、途中でずっとこのまま社会、世間に不満を並べつつ、不安に駆られ、不安定な16歳を描くことに意味があり、そういう話なのかと思ったらすらすら読めた

ホールデンは弟のアリー、妹のフィービーを溺愛していて、フィービーには最後まで学校に行くように言うんだよな

I’d just be the catcher in the rye and all.
ライ麦畑の捕まえ役、そういったものに僕はなりたいんだ。

the catcher in the rye というは社会の周縁にいて、そこから落ちそうな子どもたちを捕まえる役目といえる。ホールデンは自分が社会でうまくやっていくことを諦めて、自分みたいなやつをサポートしようというなんか虚しいけど、優しいふうにも思える。(最終的には、おそらくホールデンは別の学校に戻るのだけど)

危うい、危うい。耳と口をつぐんで社会の外でthe catcher in the ryeになるのか、どうしようもない社会の中で希望を見つけてそこに進んでいくのか。

少佐はこう答える。 「世の中に不満があるなら自分を変えろ。
それが嫌なら耳と目を閉じ口をつぐんで孤独に暮らせ。」

ホールデンがかぶる赤いハンチングは、自分はここにいるというアイデンティティの表現なのかなと思った。