1899年刊行
読んでいていすげー気持ちよかった。最初は19世紀のイギリスの貴族たちのどうでもいい鼻につく会話が続くだけなのかなと思ったら、急に政治と金のスキャンダルの話になり、会話も1幕ごとに終わりに向かって美しいパンチラインを多数含みながらドライブしていく。 しかも、帰着点も普遍的。自分の中の「理想像」を愛するのではなく、「ありのまま」を愛そうぜって感じ。
以下に好きなフレーズを記す
人生というものは公平であったためしがないんだよ、ロバート。いや、おそらく、公平でないからこそ助かっているんじゃないかな、大がいの人間は。ーゴーリング卿
道徳をふり廻すのは、相手が嫌いな場合だけですからね。 ーチェヴリー夫人
いいかい、フィプス。流行というものはね、自分自身が身につけているものなんだ。流行おくれというのは、他の奴らが身につけているもののことさ。ーゴーリング卿
関係図メモ
ロバート周り ロバート・チルターン卿 外務次官。高潔 チルターン卿夫人(ガートルード) ロバートの妻。貞淑 メイベル・チルターン嬢 ロバートの娘 トミー・トラファド ロバートの秘書。メイベルにプロポーズする メイスン チルターン卿邸の執事
アーサー周り アーサー・ゴーリング卿 ダンディでお洒落な独身貴族。ロバートの親友 キャヴァンシャム卿 アーサーの父。ベテラン政治家 フィプス ゴーリング卿邸の召使い
その他 マクレガー卿夫人 ロンドン社交界の世話好きな貴婦人 チェヴリー夫人 ウィーン社交界の花形。ロンドン出身