感想
こんなに美しい日本語表現に出会ったの初めて。たまげた。 退廃的であり、美しい。不思議。主人公の島村は無為徒食で、駒子の生き方を徒労だとか思いながら、愛していく。
勧進帳が終ると島村はほっとして、ああ、この女はおれに 惚れているのだと思ったが、それがまた情なかった。
島村には虚しい徒労とも思われる、遠い憧憬とも哀れまれる、駒子の生き方が、彼女自身への価値で、 凜 と撥の音に 溢れ出るのであろう。
最後、駒子が幼馴染の行雄の恋人である葉子は救いにいくのを島村が見ている感じの、どうしよもなさ、そしてそんな駒子に惹かれている自分という描写が完璧。
ノーベル賞に対して川端康成が日本語で審査されていないから、良心的にいえば辞退するのが..って言ってたのが納得できた。